発端
「マイナーで良い感じのデッキないかな」とツイッターで呟いたところ、フォロワーの方から「忍者どうですか」という提案を頂いた。
「個々のポテンシャルはある」
「エクストラパックで強化された」
「色々な型があるのが魅力」
どう考えても怪しいセールスであり、極めて不審に思った筆者は「組みます」と即答。
調べて、組んで、回して、「んほぉ〜これが忍者・・・」と理解した気になった筆者は、何を思ったのかソレをチーム戦に持ち込んでしまった。
持ち込んだのは近所のホビーステーションで行われたスイスドロー形式の3人チーム戦だが、CS等の大型大会とは違いトナメという概念は無い
一応不安になったので、当日「少しヤバいデッキ使うんですけど大丈夫ですか?」とチームメンバーに確認を取ったが、そもそも当日になって「非環境使いますね〜👍」と宣う思考回路が大丈夫だろうか
けれど、賽は投げられた
それに環境も読んで尖った構築にしたのだ、自信はある。「分からん殺し」の真髄をここに見せよう─────
ホビチーム戦
— オオニシ (@soospsp) 2020年2月9日
閃刀 ×〇×
ダイーザ ×〇×
オルター ××
【忍者】使ってチーム3-0で優勝!チームは強かったです。土下座しました pic.twitter.com/2LkhKF17n1
全負けのくせに態度
現代社会のピエロを演じてしまった。何を考えているのか分からない恐怖が、ここにある。
だが、このままでは「訳の分からないデッキを組んで0-3した狂人」で幕を閉じてしまう。それではいけない
よって、本記事では「自分なりに考えた【忍者】の回し方」を書こうと思う。「忍者組もうと思ってたから有難い!」などという需要があるはずなく、本記事が及ぼす影響は無に等しい。
その「無」に興味があるんです♡という凄まじい頭脳を持った方は勿論、「そろそろブラウザバックしても?」と至極真っ当な頭脳を持った方も、暇潰し程度に読んで頂ければ幸いである────
基本ムーブ
忍者といえば「忍者マスターHANZO」だが、当然コイツを中心として動いていく
初動で持ってくる選択肢は、意外と知名度のある忍法「変化の術」「超変化の術」、エクストラパックで登場したフィールド魔法「忍法修練の地」あたりが挙げられる
特に「修練の地」は、忍者が場に出るだけで「忍者」「忍法」を回収できる、墓地の「忍者」を除外して「忍者」「忍法」の破壊を免れる等、デッキの回転を支える根幹といえる
↑のように「忍法」で別の「忍者」を展開し、コストとなった「忍者」を「修練の地」で回収という動きが基本となる。
ここでは「HANZO」を回収することで、次のターンでも同じ動きを繰り返すことが可能
また、上記のサイクルはメインデッキだけで完結しており「自分ターンに展開しない」ことを前提としているため「強謙」「ゴーキン」をフル活用できるのも利点。
そして「超変化の術」は(レベルを持つ)相手を除去した上で忍者ネームを展開可能なため、常に優先してサーチ・回収しておきたい
変化先のモンスター
「変化の術」系統でリクルートするモンスターについて。
基本的には「超変化」から出るドラゴン族・恐竜族・海竜族が優先されるため、そちらから解説していく
⚫白竜の忍者(ドラゴン族)
「超変化」により相手モンスターを処理して出てくる2700打点。更に魔法罠に破壊耐性を付与
これにより、前述した「修練の地」と相互に破壊耐性が付くだけでなく、「超変化」自体が割れると一緒に消える弱点をケア
更には「虚無空間」「魔鐘洞」も自壊しないので、永続プランで制圧しながらのビートダウンも可能となる
同じく「超変化」から出てくるが、攻撃力3000と忍者最大の打点。その効果は、場・手札から「忍者」「忍法」1枚ずつをコストとしたツインツイスター。
重く見えるが、モンスターを呼び出す忍法の「そのモンスターが場を離れても忍法自体は場に残る」という意味不明な特性により、魔法罠ゾーンに残った忍法や「修練の地」で回収した忍者をコストにできる。
同時にコストとするため「超変化」と「自身」をコストにしても、「超変化」での除去や「修練の地」の回収により実質消費は0なので覚えておきたい
⚫黒竜の忍者(獣族)
こちらは獣族のため「変化の術」でリクルート可能。「超変化」と違って相手を除去できないが「変化」で要求されるのは忍者のみなので、状況に影響されにくい。
その効果は、場・手札の「忍者」「忍法」1枚ずつをコストとしたモンスター除外。
重要なのは場を離れると除外していたモンスターを帰還させるという、一見デメリットでしかない効果。
しかし、自身を対象に取って自身を除外すると即座に帰還効果が発動、再び特殊召喚できる
上記のようにコストさえあれば「自身を除外→帰還」を繰り返すことができ、直接攻撃後にこれを2回行えば2800×3でワンショットキルが成立
コストに関しても、前述したように場に残りやすい「忍法」カードで捻出できる
更には、帰還は「戻す」ではなく「特殊召喚」。相手ターン中に行えば「修練の地」により墓地回収ができるし、他の手段で特殊召喚できない「超雷龍サンダードラゴン」を除外すれば完全除去となる
⚫パンクラトプス(恐竜族)
「超変化」から出せるTHE・安牌といえるモンスター。忍者ネームではないためデッキの恩恵は受けにくいが、そもそも単独で強いので問題無し。
⚫コアキメイルドラゴ、アモルファージノーテス(ドラゴン族)
「超変化」から出せるメタカード。特にノーテスはゲームエンドにまで持ち込めるパワーはあるが、素引きすると忍者のコストにできないうえ、アドバンス召喚の必要があるため悲惨。
反対にコアドラは、素引きしても強いが維持コストが無いため場持ちが悪い。このように一長一短かつサイド向けなので、採用は要検討という感じだ
その他の忍法
ここまでで解説した「修練の地」「変化」「超変化」以外の「忍法カード」を説明していく。
⚫妖変化の術
忍者をコストに「相手の墓地」からモンスターをパクる。実質シャークキャノンであるため、効果を聞かれれば「シャークキャノンですけど」とふんぞり返ると良いだろう
パクったモンスターは攻撃も効果発動も自由なので自由度は高く、妨害として機能させるには「相手の蘇生にチェーンして奪う」のが定石といえる。【忍者】に定石もクソも無いのだが
更には、奪ったカード名を「忍者」モンスターとして扱うため各種忍者のコストや忍法のリリース要員として活用可能。
忍者ネームと化すので「修練の地」のトリガーになるほか、比較的重めな「黒竜」「黄竜」のコストに「妖変化」「妖変化で奪ったモンスター」を纏めて使用することもできる
⚫影縫いの術
忍者をコストに相手モンスターを除外。「黒竜」と似た効果だが、異なるのは除外したゾーンが使用不可になること。
「EXゾーン」のモンスターを除外すればそのEXゾーンが使用不可になるという「おジャマ・キング」もドン引きの封殺力
デメリットとして、自身が場を離れると除外していたモンスターを「同じゾーン」に「同じ表示形式」で「戻す」という点が挙げられる
しかし「EXゾーン」に限っては、そのデメリットをすり抜ける。忍者のように
忍者の、ように。
「同じゾーンに戻す」がルールによりEXゾーンには戻せないため、除外されていたモンスターは場に戻らず墓地へ行くという裁定が下されている。
EXゾーンのモンスターを除外しておけば、もう片方のEXゾーンに自分のモンスターを出すことで擬似的なエクストラリンクとなり「これガチのEXリンクやん!!!!(宮川大輔)」と相手を煽り倒すことができる
仮に割られても除外したモンスターは墓地へ送られるため、非常に都合の良い裁定といえるだろう。
⚫隠密忍法帖(オンミツニンポウチョウ)
手札の「忍者」をコストに「忍法」を持ってくるシンプルな効果。
メリットとしては素引きした「黄竜」「白竜」あたりをコストに当てられ、自身も「忍法」なので各種コストになれる。
なので、余裕があるなら「HANZO」等でサーチする際に「忍法帖」を経由しておくのが好ましいだろう
その他の忍者
筆者の考える構築において、「HANZO」以外の「忍者」は忍法を持ってこれないため最低限「忍法」のコストになれることを前提として、召喚可能なレベル4以下を中心に採用している。
また「忍者2体」をリンク素材として、毎ターン「忍法」を持ってこれる「忍者マスター SAIZO」
の存在から、可能な限り「展開力」のある忍者を採用圏内として解説していく。
⚫黄色い忍者
「切り込み隊長」チックな効果だが、打点が高めなので「忍法」を発動する前に戦闘破壊されるという事態を回避できる
これで「HANZO」を出すと②の特殊召喚時の効果で「忍者」を持ってこれるため、後続を確保ながら前述した「SAIZO」をリンク召喚可能。
⚫忍者マスターSAIZO
リンク先に何かいるだけで「対象耐性」「攻撃対象不可」を獲得。また毎ターン「忍法」をセットでき、維持するだけで盤面を強固にしていける
問題は「レベルが無い」ため「変化」「超変化」でリリースできない点。レベルを参照しない「妖変化」「影縫い」には対応しており、特に直接的な妨害となる「影縫い」のリリースに使うことが多い。
⚫黄昏の忍者―ジョウゲン
貫通効果のみと単体性能はイマイチだが、特記すべきは「忍法」を見せるだけで展開可能ということ。
「HANZO」の特殊召喚サーチで持ってこれ、打点2000のためアタッカーにもなる。
ただしペンデュラムモンスターなので墓地へ送る必要がある「超変化」のコストに出来ず、墓地へ送られないため「修練の地」での回収も不可。
(一応「超変化」で対象には取れるが、効果処理時に墓地へ送られないので相手のレベル以下のモンスターしか出せない)
デッキとしては「忍者」が場に居なければ始まらず、貴重な通常召喚以外で出せる「忍者」には変わりないので、「HANZO」のサーチ用に刺しておく等がベスト
⚫成金忍者
罠カードをコストに忍者をリクルートするが、ノーコストの「HANZO」「黄色」と違って誘発を受けると最低でも罠1枚を失うことになる。
「HANZO」を直接リクルートできる点は魅力的だが、罠を主体とする本構築においてコストがかなり重いため評価は微妙
小技編
小技というか、応用じみた戦法を紹介していく。
⚫「センサー万別」
直喩すぎるが、本構築におけるセンサー万別は自分の動きを一切阻害しない。
「戦士族同士で噛み合わないんじゃ・・・」と思えるが、「忍法」から出てくる「黒竜」「白竜」「黄竜」はいずれも戦士族ではないため、その隣に「HANZO」等の下級忍者を展開していける。
更には「白竜」の魔法罠への耐性により「センサー万別が効果破壊されない」といった悪辣な盤面を作ることも可能。
⚫ダブル超変化
単純に「2枚同時に『超変化』を発動」するだけだが、
このように、忍法で唯一「対象を取って発動→効果処理時に墓地へ送る」特性なので、
効果処理の時点で「墓地へ送ったモンスターの合計レベル以下のモンスター」がデッキ居なくとも墓地送りだけは行われる、という処理によって「1体の忍者で2体のモンスターを処理」できる戦術。
おわりに
何故ここまで書いたのか極めて謎である。「小規模の大会だし、たまには遊ぶか」という気持ちで組んだだけのデッキなのに・・・
気が付けば検索履歴は「忍者 CS 優勝」。気が触れている
結果としては0-3し、チームメンバーに謝り倒したのだが「全然良いですよ〜☺」社交辞令
社交辞令以外の何物でもないだろう。次からはチームメンバーを募集しても「アナタは忍者ですか?」と意味不明なリプライを食らって「はい」と答えるサイバーニンジャが誕生してしまう
最後になるが、一番言いたいこと。
それは、
唐突に「新しいデッキを組みたい!」
という心の超変化
これが、最も危険である─────(メイン終了)