この世界には「オハヨーぜいたく果実のむヨーグルト」という聖遺物が顕現している
OHAYOという「ホンモノは、おいしい」などと胡散臭いキャッチフレーズを掲げた乳製品メーカーが作りたもうた、究極の物質。
それが「オハヨー飲むヨーグルト」である
筆者は「オハヨー飲むヨーグルト」が常人のソレを遥かに凌駕するレベルで好んでおり、スーパーマーケットに出向けば7〜8本は必ず購入する
7〜8本というのは、単純にそれ以上の数の「オハヨー飲むヨーグルト」が陳列されていない為であり、つまるところ「オハヨー飲むヨーグルト」の陳列数の限界値に迫る勢いで、買い物かごに詰める
しかし堂々と「オハヨー飲むヨーグルト」をガッシャガッシャと放り込んでいっては恥ずかしいので「いつも買ってるからァ〜〜」のすまし顔+素早い動きで、片手に3本の「オハヨー飲むヨーグルト」をキャッチして俊敏かつ視線を合わせずカゴにぶち込む。万引き
万引きのそれに酷似する動きだが、そんな事はしないし、仮に「オハヨー飲むヨーグルト」を万引きしようとする輩がいるならば、ツカツカと近寄って腕を掴み「オイッッッッッッッッッ!!!!!!!その「オハヨー飲むヨーグルト」を!!!!!!取るなっっっっっっっっっ!!!!!」と警告して奪い取るだろう。
筆者は大学生のころ、学内コンビニで置かれていた「オハヨー飲むヨーグルト」を何気なく購入し飲んだところ脳がスパークした
たかが飲むヨーグルトと高を括っていただけに、あまりの美味さに興奮冷めやまないまま、普段なら着席して2分でふわんだりぃずと夢の街に突入する火曜5限へと興奮状態で臨むことができた。寝た。
確かに初めて飲んだ「オハヨー飲むヨーグルト」の衝撃たるや想像を絶するが、それはそれとして普通に寝た。
火曜5限は人体に睡眠を促す波長のようなナニかが出ているとしか思えないほど、「オハヨー飲むヨーグルト」を飲んだ直後にも関わらず峰打ちでもされたように眠れた
「オハヨー飲むヨーグルト」には複数の味があり、いちご・白桃・ブルーベリー・みかん・パイン・キウイが存在する。
人間にも複数の人種で分かれているように、「オハヨー飲むヨーグルト」もまた「味」という名の違いでそれぞれ成り立っている
筆者はいちごが一番好きだし、何ならいちご以外の「オハヨー飲むヨーグルト」全ての味は必要ないと考えているが、世界は広く「パインが好き」「ブルーベリー」「いちご以外が好き」などと理解し難い考え方も少なくない
まさか近しい人間まで「オハヨー飲むヨーグルト」いちごに対する感情が薄い訳ないだろう、そう思って会社にて昼食に「オハヨー飲むヨーグルト」を一緒に購入、おもむろにデスクに置く。
隣の同僚に突如「これ…好きなんですよね…♡」などと薄ら笑いを浮かべながら謎告白をする。同僚は興味という人間的感情を一切感じさせない推定マイナス400℃の眼差しで「へぇ…」の一言とともに
「それ飲んだことない。見るけど」
それ飲んだことない見るけど?
飲んだことない?「オハヨー飲むヨーグルト」を?
有り得ない、この世界において飲料物といえば「水」「お茶」「オハヨー飲むヨーグルト」だろう
そんな馬鹿な。飲んだこと、ない?
思わず両肩を掴んで揺らしながら「なんでっ…飲んだこと……っっ」と涙をボロボロ零しながら詰め寄るところだったが、社会人としての、人間としての常識的範疇に従って即時的な理性を獲得
「飲んだことないんだ、美味しいよ!」
心は泣いていた。「オハヨー飲むヨーグルト」の好きな味を聞くどころか、そもそも飲んだことない
それも、存在そのものを知らないなら懇切丁寧に解説したところだが
それ飲んだことない。見るけど
視線でしっかりと「オハヨー飲むヨーグルト」を捉えているけど、買わないし飲まない
そんな事が、あるのか…
あれ以来、夢を見る。
筆者が「オハヨー飲むヨーグルト」を両手でうめうめと摂取している背後から、同僚が、マイナス400℃の眼差しで
「それぇぇェぇぇ飲んDAことなぁぁぁaaぁい見るケドォォォォォォ☆」
いま、飲酒をしています
「オハヨー飲むヨーグルト」を添えて。